理事長 ご挨拶
一般的に脳損傷による障害のある人々は、突然の発症に困惑し、発症前と現在の状態のギャップに落胆し、先が見えない不安な状態に陥ることがほとんどと思います。その状態では、介護を受けるのが前提と考えがちですが、大きな苦難を乗り越えた人々は周囲に大きな影響を及ぼすのも事実です。そこで、本学会の「ケアリング」は、障害のある人々が周囲の人々から一方向で介護を受けることに限定するのではなく、お互いが影響しあいつつ双方向で支えあい、学びあう関係であることを意味し、さらに、多くの職種、立場の人々も同様な関係性で活動することをめざします。そして、コミュニティで暮らす脳損傷のある人、家族、市民、哲学者、社会学者、医療職、保健職、福祉職、行政職など暮らしにかかわるすべての人々が同じテーブルについてさまざまな活動や体験について討議し、コミュニティにおいて実践し、共に生きていく社会づくりをめざしています。
そこで、本学会の目的は、「脳損傷の人々並びに周囲の人々が同じテーブルにつき、地域において主体的な暮らしの実現、及びどのように改善するかに関し、学術研究、知識、技術の向上を図りその成果を社会に広め、もってかかるすべての人々が双方向に学びあい、共に生きていく社会づくりの発展に寄与すること」としています。具体的な活動として、全国大会を年1回開くとともに、各種委員会(研究委員会、研修委員会、当事者社会参加推進委員会、スポーツ・文化委員会、広報委員会)を脳損傷のある人、市民、医療保健福祉職、行政職、学者などが一体となって活動していくことにしています。
この趣旨にご賛同いただければ、ぜひ、会員に申し込みいただき、ご参画、ご協力、ご支援をよろしくお願い申し上げます。
平成28年3月10日
一般社団法人日本脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会
理事長 長谷川 幹
活動経歴
1982: | 玉川病院リハビリテーション科開設 「地域医療を共に考える会(医療、保健、福祉関係者の勉強会)」の代表 |
1984: | 障害者、家族の自主グループ「たつなみ会」を支援 |
1987: | 組織的、定期的に改革し「地域における医療 保健・福祉をともに考える会」の代表 |
1990: | 駅、銭湯などのバリアフリー度を調査 |
1991: | 「障害者とともに街へ出よう」を実践 |
1992: | 山形・高畠町との交流(隔年に旅行で行き来) |
1994: | 玉川町会との交流「障害の模擬体験」(障害者がミニ講師)を実践 |
1995: | 身体障害者デイサービス「ふらっと」の嘱託医 |
1997: | 障害者とともに総勢51名でフィジー旅行(その後、車いすを送るボランティア活動) |
1998: | 桜新町リハビリテーションクリニック開設 「高次脳機能障害者と家族の会」の相談役 障害者とともに「多摩川癒しの会」代表 |
2000: | 障害者、家族主催の「歌舞伎クラブ」を支援 |
2001: | 障害者、家族主催の「ゴルフクラブ」を支援、 福祉、医療、保健職の勉強会「せたがやリハネット」の代表 |
2003: | 「外来」を全面的に「通所リハビリテーション」へ転換 |
2004: | 市民、医療・保健・福祉職、行政職の「世田谷政策提言の会」の代表 |
2005: | 「世田谷高次脳機能障害連絡協議会」の副代表 |
2007: | 「せたがや福祉100人委員会」の代表 |
2008: | 障害者が舞台に立つ「春の音コンサート」の主催者 「せたがや福祉区民学会」理事 |
2011: | 三軒茶屋リハビリテーションクリニック開設 |
2012: | 障害者、家族、医療・福祉職、行政職などの他施設、多職種の事例検討会 「東京高次脳機能障害者実践ネットワーク」の副代表 |
2015: | 「世田谷の福祉をとことん語ろう」実行委員 東京都「地域リハビリテーション専門人材育成研修事業」の委員 |